【 とある男子の影法師 】
◆IPIieSiFsA




63 :No.13 とある男子の影法師 1/2 ◇IPIieSiFsA:08/11/16 21:36:07 ID:MqCoxUpx
 学校から帰宅中の俺の前を、一人の女子高生が歩いている。違う高校の女子で、もちろん名前も知らない。一ヶ月ほど前
から帰り道で見かけるようになり、俺は彼女の後姿を見ながらの帰宅を続けている。
 彼女との距離は着かず離れず十メートル。初めて彼女を見た時は、もう少し近かった。五、六メートルくらいだったと思
う。どうして彼女との距離が離れているかというと、それはもちろん彼女に気づかれないためだ。偶然にも、俺たちの帰り
道は夕日を背にする。従って影は進行方向へと伸びる。だから伸びた影よりも彼女に近づいてしまうと、その影が彼女を追
い越し気づかれてしまう。この平穏で至福な時間を一日でも長く享受するために、俺は影が伸びるギリギリの距離で彼女の
後ろを歩くのだ。今、俺の影の先端――もちろん頭の影だ――は彼女の踵に重なるかどうかギリギリのラインにある。とい
うのも気づかれたら逃げられそうだからだ。しかも下手したらストーカーと呼ばれかねない。なにかと物騒な世の中だから。
 けれど彼女との距離が遠くなるというのは正直、面白くない。ただでさえ変化があるわけでもなく、その上彼女の姿は見
えづらくなったわけだ。しかもそのうち寒さが増してくれば、さらに遠くなる上に彼女もコートを着たりするだろう。そう
なるとますますもって面白くない。
 そんなネガティブ思考にとらわれていた俺の頭に、ある思いつきが閃いた。
 彼女の真後ろを歩いていた俺はゆっくりと右手を上げて、頭の上に掲げていく。そうすると自然、右手の影は彼女の背中
に映り……っと、危うく彼女の身長を超えてしまうところで慌てて腕を引っ込める。今、俺の右手の影は彼女の背中に映っ
ている。できれば白いブラウスか何かだと見栄えも良かったのだけれど、冬も近いとあっては仕方ない。夕陽を受けてほん
のりと赤く染まる紺のカーディガンに、なんとか黒い影が見えた。
 今度はゆっくりと右手を下げていき、僅かに修正。彼女の右足、紺のハイソックスとスカートの間、膝裏と下太ももに影
を這わせる。うまく手の形を変えて、彼女の足を撫でるように。
 うっすら赤い白肌を黒い影が触る。その光景に少なからず興奮を覚える。
 これは当たりだ。もしかすると新たなジャンルを開拓したかもしれない。歴史に残るかもしれない、俺の名前が。
 左足。右足。また左足と対象を変えていき、彼女の足を犯していく。興奮は高まっていき、俺は右手を僅かに上げる。次
の目標は彼女のお尻だ。紺のスカートというのが残念ではあるが、致し方ない。ちなみにこれは探究心ゆえの行動であるか
らして、諦めて欲しい。
 まずは影を彼女の右尻に這わせる。影である以上、上手から触れる格好だというのが残念だ。できることなら下手から揉
みたかった。だが、今は悲しんでいる場合ではない。この恍惚の瞬間を堪能しなければ。俺は右手を彼女のお尻の中心、股
間へと動かす。だが、思ったほどの興奮は得られなかった。やはり股間を触るなら下手だと思わされた。
 仕方なく影を右尻へと戻したその瞬間、彼女が立ち止まり、くるりと振り返った。遅れて、俺も立ち止まる。

64 :No.13 とある男子の影法師 2/2 ◇IPIieSiFsA:08/11/16 21:36:19 ID:MqCoxUpx
 道路の真ん中で対峙する俺と彼女。恐らくだが、左右の足に影を振っている時に、彼女の足の間から伸びる俺の影が見え
たのだろう。そして不審に思ったのに違いない。まったくもって迂闊だった。興奮のあまり我を忘れていたともいえる。彼
女は怪訝な表情をしていた。無理もない。背後に何かおかしなものを感じて振り返ってみれば、右手を中途半端に掲げた男
子がいるのだ。それは眉をひそめるというものだろう。
 だが、今の俺は実はそれどころではなかった。彼女への対応を後回しにして、俺は右手の指を開いたり閉じたりしていた。
そしてその光景に感涙の涙を零しそうになるのを、なんとかとどめる。
 右手の指を動かしながら、満足げな顔の俺を見つめる彼女の顔が、ますます険しくなっていく。そして一瞬、目を見開い
たかと思ったら、彼女は自分の胸元に視線をやった。どうやら、気づいたようだ。事の重大さに。
 そう、それはまさに天の与えた幸運だった。彼女が振り向き、俺が一歩遅れて立ち止まったことで、右尻を揉もうとして
いた影は偶然にも、彼女の左胸に触れていた。この僥倖を逃すまいと、俺は右手の指を動かしたのである。そしてこの行為
は見事に、影によって彼女の胸を揉みしだくという成果を導いた。おっぱいは、上手から揉むのが良い。
 彼女は慌てて両手を胸まで持ってきて、カバンで隠す。こちらを睨むようなその顔は羞恥、あるいは怒りを表すように、
赤く染められていた。そして彼女は一言「変態!」とだけ叫ぶと、踵を返して走り去っていった。
 残された俺は影に残る余韻を楽しみながら、変態と叫べる彼女も変態だな、と思った。
                          ―完―



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