【 深みに嵌る 】
◆oxw1gbVEdk




43 名前:No.12 深みに嵌る 1/4  ◇oxw1gbVEdk 投稿日:09/01/25 23:32:47 ID:S68s28oQ
 俺と多香子の間に直美が入ってきたのは、俺たちが付き合いだしてから半年経った春の事だった。
 多香子の高校の後輩だった直美は、大学に入学すると多香子を慕っていつも一緒にいるようになった。多香子
の恋人である俺も含めた三人で。初めのうちは俺も遠慮がちに喋っていたのだが、日が経てば自然と仲も良くな
り、直美と二人だけでご飯を食べる事も珍しくなくなった。もちろん昼食の話だけれど。

「なんだか最近は、先輩より修治さんと一緒にいる時間の方が多い気がしますねぇ」
 直美がフルーツジュースをストローで吸い込みながらそんな事を呟く。
「あいつは真面目だからね。講義にもちゃんと出てるし」
「学年が違うのに、あたしと同じ講義を受けてる修治さんは不真面目ですもんね」
 そう言って笑う直美。大学に入ったばかりの頃は俺も浮かれ気分で自主休講する事が多く、前期の講義は単位
が取れていないものが多かった。多香子と付き合うようになってからは、一緒に講義を受けたおかげでそんな事
はなくなったのだけど。なので俺は新入生に混じって講義を受けることになり、直美と一緒にいる時間も多くな
るというわけだ。
「正しい大学生の姿だとは思うけどね。けどまあ、確かに多香子と一緒にいる時間が減ったよな。今度の日曜も、
レポートがあるとかで遊びに行けないし」
 俺はため息を漏らしてコーヒーを啜った。ブラックの苦味が俺の心情を表しているようだ。
「だったら今度の日曜日、あたしとお出掛けしませんか?」
「君と? 二人だけで?」
 それまで三人で出掛ける事はあっても、俺と直美の二人という事はなかった。俺が彼女と二人だけというのは、
今のように昼食の時くらいだ。
「だめですか?」
 俺が半ば戸惑っていると、直美は小首を傾げ覗き込むように問いかけてくる。女の子にこんな仕草をされて断
れる男がこの世の中にいるのだろうか?
「いいよ。それじゃあ、今度の日曜は君とデートをしようか」
 冗談めかしてそう言うのが、俺の精一杯だった。

 こうして初めて二人だけで遊びに行った俺達。これを切っ掛けに俺達の関係は急速に近づいていった。当然な
がら俺にとっては多香子が最優先だ。けれど彼女と一緒に過ごせない時は直美といるようになり、二人で飲みに
行くようにもなった。俺は心の中で多香子に対する後ろめたさを感じ、その背徳感が逆に直美と一緒にいる事を
楽しくさせていた。秘密を持つと人は少なからず興奮するようだ。


44 名前:No.12 深みに嵌る 2/4  ◇oxw1gbVEdk 投稿日:09/01/25 23:33:12 ID:S68s28oQ
     
「ねえ修治さん。最近、多香子先輩と会ってます?」
 居酒屋でチューハイを傾けながら直美がそんな事を言ってきた。
 正直、多香子とはもう二週間は会っていない。大学の講義も含め、直美とは殆ど毎日のように会っているのに。
「君も知ってるだろ?」
「多香子先輩、なんだか修治さんが遠く感じるって言ってましたよ?」
「あいつの方が忙しくて会えないって言うんだから、仕方ないよ」
 俺はビールのジョッキをあおる。
「それでも何とかして欲しいのが女心ってもんなんですよ」
 ほのかに頬を染めながら、真剣な目つきの直美。どういうわけか時折、彼女は俺に説教じみた事を言う。概ね
『女心』について。
「忙しくて出かける事も出来ない。だったら、ちょっと顔を見せてくれるだけでいいんです。それだけで女の子
は嬉しいものなんですよ」
 そんなものなのだろうか。まあ、無理をして会いに来てくれたりしたら嬉しいとは思うけど。
「君はそういう事はないの?」
 何とはなしに聞いてみた。直美だって女の子だ。
「あたしは大丈夫ですよぉ。殆ど毎日会ってますから」
 何故かえへんと胸を反らして答える彼女。胸が大きく張り出される。しかしこれは意外な事を聞いた。彼女は
俺と会っている以外にも、ちゃんと彼氏と一緒に過ごしているらしい。そうなると、俺も考えを改めた方がいい
みたいだ。
「だったら、君といるのも少し控えた方がいいかな。その方が、君も彼氏と一緒に入れるだろうし」
「何を言ってるんですかぁ。修治さんと会えなくなっちゃったら、意味がないじゃないですか。あたしは修治さ
んと一緒にいたいんですからぁ」
 顔を赤くして半眼でこちらを見つめるその様子は明らかに酔っ払っている。けれど、今の発言は……。
「どうしたんですかぁ? 今は修治さんと多香子先輩の事ですよぉ」
 直美は、自分の言ったことをきちんと把握していないようだ。酔っ払ってるのだから仕方ないのかもしれない
が。とりあえず俺は、聞かなかった事にして適当に彼女の話に相槌を打つ事にした。深く考えると、面倒な事に
なりそうだったから。
 程無くして酔いつぶれた彼女を担いで、俺はアパートの階段を昇っていた。無論、彼女住むアパートだ。泥酔
した女の子をどうこうしようなんて気はさらさらない。ましてや直美は俺の彼女の後輩、俺にとっても後輩みた


45 名前:No.12 深みに嵌る 3/4  ◇oxw1gbVEdk 投稿日:09/01/25 23:33:31 ID:S68s28oQ
いなものだから。
 玄関の鍵を開け、直美をベッドの上に放り投げる。
「それじゃあ俺は帰るからな。鍵が外から掛けて、新聞受けから放り込んどくから」
 眠っていて聞いていないかもしれないが一応、告げておく。そして踵を返して歩き出そうとした俺のシャツの
裾が引っ張られた。直美だった。
「……あたしを一人にするんですかぁ?」
 その顔は今にも泣き出しそうで、切なくて、俺の頭の中では飲んでいた時の彼女の言葉がグルグルと回って、
ゆっくりと彼女が目を閉じた時に、総てが弾けた。
 その日、俺は家に帰らなかった。

 その日を境に俺達の関係を『誰にも言えないもの』になった。誰よりも多香子に。
 かと言って、俺が多香子と別れたかといえばそんな事はない。むしろ、あいつと一緒に過ごす時間は増えたほ
どだった。直美が言うとおりに、俺は時間を見つけては多香子に会うようにした。やはり多香子もそれを望んで
いたようで、僅かな時間ながらも俺達はお互いの存在の大切さを感じていた。
 けれどその合間に直美とも逢瀬を重ねる俺は、最低の男だった。しかしそれがあるからこそ、多香子にも直美
にも同じように接する事が出来るのだと信じていた。

「多香子先輩とはどんなエッチをしてるんですかぁ?」
 彼女のアパートに着くなり、直美がそんな事を尋ねてきた。外にいる時はともかく、彼女の部屋にいる時に多
香子の名前が出るのは初めてだったので、俺は正直面食らった。
「そんな事を聞いてどうするんだ?」
「エッチって、あんまり変化がないじゃないですかぁ。それで、多香子先輩とはどうなのかなぁ、と思って」
「別に、君にするのと一緒だよ」
「そうですかぁ。でもそれって、段々マンネリ化してきませんかぁ?」
 確かにそういう事はあるかもしれないが、それ以上に彼女の意図が分からなかった。
「どういう事?」
「たまにはぁ、変わったエッチとかしてみたくありませんかぁ?」
 そう言う直美の顔はとても扇情的で、今すぐにでも襲い掛かりたくなる。しかしそれを抑えて問い返す。
「例えばどんな?」
「例えばぁ……」


46 名前:No.12 深みに嵌る 4/4  ◇oxw1gbVEdk 投稿日:09/01/25 23:34:13 ID:S68s28oQ
 彼女はいったん言葉を切り、何故かクローゼットをちらりと見た。
「多香子先輩を交えて3Pとか」
 は? 突然何を言い出すんだ、この子は。
「いや、いってる意味が分からないんだけど……」
「言葉の通りですよぉ。修治さんとあたしと多香子先輩の三人でエッチをするんです。きっと楽しいですよぉ」
 直美は笑顔を浮かべる。それは恍惚としていて、頭の中では情景を浮かべているのかもしれない。
 確かに、男一人に女二人の3Pというのは男の夢の一つだ。けれどそれが彼女と浮気相手というのはいくらな
んでも……。
「さすがにそれは無理だよ」
「何でですかぁ?」
「それはつまり、俺達の事を多香子に話すってことだろ? そんな事、出来るわけがない」
「大丈夫ですよぉ」
 直美はにっこり微笑むとゆっくり歩き出し、クローゼットの扉を開けた。
「多香子先輩も、知ってますからぁ」
 そこには全裸の多香子がいて、彼女もまた直美と同じように、恍惚とした表情を浮かべていた。
「多香子……。なんで、ここに?」
「後輩の家に先輩がいても不思議じゃありませんよぉ」
 答えたのは多香子ではなく直美だった。いつの間にか、彼女も服を脱いで裸になっている。
 直美がゆっくりと近づいてくる。多香子もクローゼットから出てきて、近づいてくる。
「これはねぇ、ぜーんぶ多香子先輩が考えたことなんですよぉ」
 直美の両腕が俺の首に回される。
「修治さんとのエッチにマンネリを感じて、あたしを誘ったんですよぉ」
 耳元で囁かれる声は頭の芯に響いてくる。
「それにあたし、二つの穴を責められるのって好きなんですよぉ」
 その言葉に疑問を持った俺の目に、ペニスバンドを装着した多香子の姿が映った。
「多香子先輩、着けただけで気持ちイイみたいですね。挿入しちゃったら、どうなっちゃうんでしょうねぇ?」
 直美の蠱惑的な笑みとは対照的に、多香子は頬を上気させ、涎を垂らし、既にイってるようだった。
「ねぇ、修治。三人で楽しみましょ?」
 その言葉で、俺の理性は完全に弾けんだ。
 そしてその日俺は、二つの意味でお尻の気持ち良さを知った。                     了



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